車・自動車SNSみんカラ

2006年10月07日
今回の旅行先はかつて住んでいた街. その街に泊まるのは, 就職してその街を離れてから初めて. 2 日目の夜, 妻と子供が寝てから一人, クルマを出した.
10 年以上前, いつもそうしていたように, 点滅信号ばかりになった深夜の街をドライブする. もしかすると, こうして走っているうちにそのころの俺とシンクロしてあのころにタイムスリップするかも知れない.
そんなことを思いながら, 当時走ったルートを選ぶ.

……けれど, タイムスリップはおろか, 当時の俺とシンクロすらしなかった. かつて, どこまでも続いていそうな原野や畑, 水田の中を貫いていた道の両側に今あるのは, どこの街にもあるありふれた量販店, 24 時間営業のチェーン店の灯り. 伝わって来るのは違和感ばかり.
また, 当時幼木だった街路樹は 10 年の歳月を経て成長し, どこからでも見えた, このあたりの地域にとってのシンボルである山を覆い隠している.
原野を切り開き, 当時新しく通されたばかりの道は, もっと広く感じたのに, 今走るこの道はとても狭い. あの頃乗っていたスバルジャスティは全幅 1,535mm, 今ハンドルを握っているこのクルマより 210mm も狭いが, この圧迫感はそんなところから来ているのではないことは明らかだ.

けれど, この街で過ごした数年間, 人生の絶頂期というほどのことはなかったものの, そんなに後悔した年月でもなかった. 自由な時間を満喫した時期ではあったけれど, やり直すべきこともない気がする.
それに仮に今, タイムスリップしても, 風呂は共同の 6 畳+台所 3 畳のアパートで暮らすことはきっと苦痛でしかないだろう. それより何より, 貧乏だったな. 月末になると, 飼っていた猫の餌代にすら困って, 塩で味を付けただけのスパゲティを猫にやったりもしたっけ.
自分ではまだまだ若いつもりだけれど, すっかり姿を変えたこの街同様, いや, あるいはそれ以上に当時の自分とは違うものになっているに違いない. 今さらタイムリップしても困るね, きっと.

そんなことを思いながら, 結局 4 時間近く徘徊して当時走っていたルートをほとんど回り尽くし, ホテルへ戻る途中, 見慣れない道を見つけた. 以前は T 字路だった交叉点から, ホテル方面へ道が延びている.
迷わず乗り入れた真新しいその道は, 当時走っていた道そのものだった. その道は, 何もない暗い風景に一直線, あるいは, 緩やかなカーブを描いて延びてはるか先で消えている. ところどころ歩道と中央分離帯が切れているがそこには交叉点などなく, 今から街を作ることを示しているだけだ. そして, 背の低い街路樹の向こうには常に山が見えている.

懐かしさを楽しむためにクルマを出したのに, 最後にそれをもたらせたのは, 当時はなかったこの道だけだった. この道は, 俺へのせめてもの贈り物なのかも知れない.
Posted at 2006/10/09 03:05:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行


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(2006.07 に "AXELA" からハンドルを変えました) アクセラならびにプジョー 206 CC に関するブログを中心に構成して行きます.AXEL...
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